事例①

債権者Aは個人的(商売ではない)に債務者Bに平成8年1月1日に500万を貸し渡しCが連帯保証をしました。弁済期は、平成9年1月1日に一括支払いです。

債務者Bは、弁済期には1円も支払いませんでしたが、平成18年1月1日に金20万を支払ました。

債権者Aは、平成24年10月29日に連帯保証人Cに残金のの支払を請求しました。

事例②

債権者Aは個人的(商売ではない)に債務者Bに平成8年1月1日に500万を貸し渡しCが連帯保証をしました。弁済期は、平成9年1月1日に一括支払いです。

債務者Bは、弁済期には1円も支払いませんでしたが、平成23年1月1日に金20万を支払ました。

債権者Aは、平成24年10月29日に連帯保証人Cに残金の支払を請求しました。

前提として債権の消滅時効の期間は10年になります(民法167条)。

本件の流れを図表にと添付のとおりになります。事例①は、消滅時効の完成前(平成19年1月1日の経過)の平成18年1月1日に一部支払しています。この事実は債務の承認(民法147条)ですので、時効が中断しています。債務の承認時点から時効の期間が再スタートですので、現時点では消滅時効の援用が債務者はできません。保証人についてもこの中断の効力が及びます(民法457条)ので、消滅時効の援用はできません。

事例②は、消滅時効期間経過後に債務者が支払っている事例です。これは、時効完成後の債務承認といわれるものです。

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最高裁判例(昭和41年4月20日)は、「債務者が,自己の負担する債務について時効が完成したのちに、債権者に対し債務の承認をした以上、時効完成の事実を知らなかったときでも、爾後その債務についてその完成した消滅時効の援用をすることは許されないものと解するのが相当である。けだし、時効の完成後、債務者が債務の承認をすることは、時効による債務消滅の主張と相容れない行為であり、相手方においても債務者はもはや時効の援用をしない趣旨であると考えるであろうから、その後においては債務者に時効の援用を認めないものと解するのが、信義則に照らし、相当であるからである。また、かく解しても、永続した社会秩序の維持を目的とする時効制度の存在理由に反するものでもない。そして、この見地に立てば、前記のように、Xは本件債務について時効が完成したのちこれを承認したというのであるから、もはや右債務について右時効の援用をすることは許されないといわざるをえない。」

としていますので、債務者Bについては、信義則上、消滅時効を援用をすることができません。

 しかしながら、連帯保証人Cについては、上記効力は及ばないので消滅時効を援用ですることができます

消滅時効については、商事債権は5年ですので注意して下さい。

実際に時効完成後に主債務者が支払をした事案で、保証人が消滅時効を援用した事案を受任したことがあります。

依頼者は、15年以上前に連帯保証した債務について、裁判所から支払督促の通知がきたので相談にきました(過去のお客様です)。その段階で、期限の利益喪失日から5年以上経過しているので、消滅時効の援用できる可能性があるので、消滅時効の援用を柱として督促異議をアドバイス(簡単な書類作成)をしました。

督促異議があると通常訴訟に移行します。相手方の準備書面には、主債務者が明らかに時効完成後に支払いをしているのに時効の中断しているから消滅時効の援用は認めないとありました。依頼者には、まだ、消滅時効援用の可能性があると説明しました。

私は下記のとおり準備書面を起案しました。

1 原告提出の甲第1号証記載の支払については、被告自身が支払ったものではない。

2 原告の請求債権の期限の利益喪失日は、平成6年1月12日である。

3 平成22年10月26日は、平成6年1月12日から5年以上経過している。なお、原告請求の債権は商事債権(原告請求債権の譲渡人である○○は商人である)であり、消滅時効完成の期間は5年である(商法522条)。

4 上記のとおりあるから、原告提出の甲第1号証記載の支払は時効完成後の債務承認(最高裁 昭和41年4月20日判決)であり、被告自身が支払ったものではないので被告は消滅時効の援用権を失わない。なお、信義則に反しない。

5 よって、原告・平成24年11月16日準備書面主張は失当である。

笑い話ですが、口頭弁論期日に相手方は私の作成した上記主張が理解できずに裁判官から随分怒られたそうです。

数日後に、相手方が訴訟を取下げて事件は終わりました。ちなみに、原告は、名だたる債権回収会社(サービサー)でした。

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