兄弟2名で、父が兄に全財産を相続させる遺言を作成し、遺言の効力が発生した場合、確実に遺留分を侵害します（民法1028条）。このような遺言でも効力があります。ただ、弟が遺留分減殺請求権を行使した場合に、遺留分を侵害する範囲内で遺言の効力がなくなります。

ただ、このような遺言でも弟が遺留分減殺請求権を行使しなければ有効で兄は全財産を相続します。その意味で作成する意味は十分にあります。また、弟の相続分は減殺請求権は、法定相続分の2分の1になりますので、この点でも意味があります。

極端な例ですが、私が実際の公正証書作成援助をした事案で、前妻との子には一切相続させないで、現在の妻とその妻との子に全財産を相続させる遺言があります。前妻との子が留分減殺請求権を行使しなければ遺言の内容どおりになります。また、少なくとも法定相続分を本来の2分の1に減らせます。

よって、作成する意味は十分にあります。