法廷意見の要旨http://www.fukushima-minpo.co.jp/news/syohou/CN2006090401002164.html
民法は、嫡出子は出生により当然に、非嫡出子は認知を要件として、その親との間に法律上の親子関係を形成するものとするが、このような法制は、少なくとも、死後の懐妊で生まれた子と死亡した父との間の親子関係を想定していないことは明らかだ。
父は懐妊前に死亡しているため、父が子の親権者になりうる余地はなく、父から監護、養育、扶養を受けることはあり得ず、子は父の相続人になり得ない。そのため(子が死亡した父などに代わって遺産を相続する)代襲相続人にもなり得ない。このように親子関係の基本的な法律関係が生ずる余地がない。
両者の法律上の親子関係の形成に関する問題は、本来的には死亡者の保存精子を用いる人工生殖の生命倫理、生まれてくる子の福祉、親子や親族の関係を形成されることになる関係者の意識、社会一般の考え方など多角的な観点からの検討を行い、親子関係を認めるか否かや、認める場合は要件や効果を定める立法で解決されるべきだ。
そのような立法がない以上、法律上の親子関係の形成は認められない。
【滝井繁男裁判官の補足意見】
既に生まれた子の福祉を第一に考えるべきとの考えに異論はないが、親の意思で産むことや、その中で自分の意思にかかわらず出生する子についての検討がおろそかにされてはならない。もはや医学界などの自己規制に委ねられてよいことではなく、既成事実が積み重ねられていく事態を放置できない。速やかな法整備が求められている。
【今井功裁判官の補足意見】
認知請求を認めても父の親族との間に扶養の権利義務が発生するだけで、子の利益はそれほど大きくなく、現行法制との乖離(かいり)が著しくなることを容認してまで父子関係を形成する必要性は乏しい一方、十分な社会的合意がないまま実施された死後懐妊の出生という既成事実を法的に追認する大きな問題を生じさせることになり相当ではない。
私見(解説)
本件の判決の基本的なスタンスは、冷凍精子により、父死亡後に懐妊し、出生した子については、法律がないから認知請求を認めないというスタンスと考えらます。それを子供からみれば、全く自己に責任がないのに父に対する認知請求ができないというのは酷ではないかという考え方もできますが、最高裁は、このような重要な事項は、裁判所が認めるのではなく、最高機関である国会で制定した法律によって決めるべきと判断したと考えます。よって、法律によって、上記の認知請求を認めれば、これが憲法違反となるようなことはないと最高裁も判断しています。少なくとも現在の家族法が制定された当時には、予測もできなかったことです。立法が望まれます。
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